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渋川玄耳~警察発表とマスコミ

Posted in 報道・ジャーナリズム by UBSGW on 2006年3月7日

今の新聞には全紙を通じた人格の支配がない。社会という大舞台を相手とする態度の統一が欠けている。政党が騒げば新聞も騒ぐ。警察が刑事を八方に散らせば新聞も記者を八方へ飛ばせる犬がほえれば新聞もほえる。(後略)

森田一雄『野暮たるべきこと』梓書院2005

この文の筆者である渋川玄耳は夏目漱石と同時代の人だそうですが、上の指摘は現代のマスコミにもそのままあてはまると思い引用させてもらいました。

(著者略歴)1923年東京府下生まれ。佐賀新聞社を経て、朝日新聞西部本社に入社。西部社会部山口支局長、西部本社写真部長、連絡部長、編集委員などを歴任。有田町歴史民俗資料館長を務めた、とあります。

渋川は佐賀県出身、裁判官を経て陸軍の法務官に転身、さらにこれを中途で辞し、現在の朝日新聞に社会部長格で入社したのち、特に社会面の刷新に功績のあった人物で、前掲書によれば、新人記者をまずは警察担当に配置する慣例をつくったのが彼だということです。また、文人としても知られ、軍人として熊本に在勤中には、同時期に熊本の旧制高校で教鞭をとっていた夏目漱石とも文学上の親交があり、その縁でのちに彼とともに朝日新聞の発展に貢献したそうです。波瀾万丈の生涯を送った、いわゆる”いひゅうもん(変わり者)”。
いま、この人に非常に興味を持ってます。いずれまた書いてみます。
最後に上記引用文の続きを。

要するに材料の出所の重大事件とするところのものを新聞もまた重要視し、ただ材料の供給者の態度進退に追随して、はぐれまいが精一杯である。しかし、普通に小事件小問題として閑却看過されたものの中に、新聞としてきわめて重大視せざるべからざる好材料の潜伏していることに格段の注意を払わねばならぬ。

前掲書

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