求道blog

こころ

Posted in 日本文学一般 by UBSGW on 2006年5月14日

何度目か覚えていませんが再読。全編を初めて読んだのは確か高校生の頃だったと思います。以来、折に触れて何度も読みましたが、その度毎に新たな感銘を受けます。人生を”道”の実践と考え、エゴイスティックなまでに精神的向上を追究したKが、一人の女性をめぐって只一人の友人である”先生”に裏切られ、孤独感の中で自死する悲劇。最後まで女性に対して心情を明かさなかったK。これは彼の精神的弱さではなくむしろその(悲劇的な)強さを示していたと思います。そして、その自死に至るまでKと自身との間の葛藤を、女性すなわち妻に対して明かさなかったことは先生の妻に対する優しさだったのだと感じました。しかし、そのどちらも悲劇性を帯びているところにこの作品の深さをみました。

人間の孤独感とそれによる絶望、エゴイズムの行き着く先。何気ない一つ一つの言動の連鎖が、時として一人の人間に人生の自己破壊を決意させる怖さ。”死”を、漠然とではなく目前にある切実なものとして突きつけられた者でなければ書くことのできない作品だと思います。

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