求道blog

三島由紀夫『盗賊』

Posted in 日本文学一般 by UBSGW on 2006年8月29日

世の中、様々な嘘・虚言が飛び交っているんでしょうけれど・・・・。そもそも、嘘ってなんなんだろう?他人に対する嘘もあれば自分に対する嘘ってのもあるし。自分を欺くってどんなんだろう?いざ考え始めると、そうそう簡単ではなさそう・・・。この本を読みながらそんなことを考えました。

あのように忘れがたい美子に会おうともせず手紙をさえ出さない明秀・・・の性格は自己に忠なるかにみえてそうではないのだ。ふつうの人間なら他人の目に辻褄が合いさえすれば、自分の内部でどんな矛盾撞着があろうとお構いなしなのを、明秀の秘密主義は人には隠し了せても自分の内でなお辻褄を合わせようとする点で一応自己に忠実だとみえはするが、実は見栄や意地や掛引を他人に対してのみならず自己に対しても濫用する結果に終るので、むしろその反対だと言わねばならない。(本文より)

単なる自虐や自己暴露では、(劇が)発展せずに燃焼してしまう。そのような甘ったれた誠実さを、作者(三島)は最も嫌悪している。卑小なる物を卑小だと言い切ることは、何とたやすい業であろうか。(解説-武田泰淳-より)

エンディングがまさに”劇的”。「なるほど、盗賊か・・・」って感じです。

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