求道blog

辺見庸『永遠の不服従のために』

Posted in 書籍一般 by UBSGW on 2006年9月25日

読了。

サンデー毎日に掲載された「反時代のパンセ」(2001年7月~2002年8月連載)を集めたものだそうです。ということは、ちょうど9・11テロとそれに続くアメリカほかのアフガン攻撃の時期にあたっているんですね。

今までにも度々「9・11以後世界が一変した」という言葉を耳にした記憶がありますが、私自身は「そうかなぁ?」くらいにしか思っていませんでした、正直なところ。私の記憶では、「変わった、変わった」と言っていたのは親アメリカ的立場の人々に多かったように思います・・・うろ覚えですが。

昨日今日と辺見庸の著作を読みながら、「そういえば日本の右傾化、といって悪ければ”美しい国、尊敬される国”志向は9・11テロの直後から始まったかなぁ」などということを考えました。そういう意味では確かに9・11以後何かが大きく”変わった”のかもしれません。

異論をばっさり切り捨てる、単純明快すぎる言葉の連呼、恥ずかしげな様子もなく正義の味方を自称する厚顔などが溢れだしたのはあの頃だったか・・・。
暇を見つけてからもう少しあの当時の記事などを確認してみるつもりです。

この本の中に、著者がチョムスキーと対談した際の様子が記されていますが非常に興味深かったです。
著者がブッシュ政権の戦争政策を非難したことへのチョムスキーの反応は次のようなものだったそうです。

「他人の犯罪に眼をつけるのはたやすい。東京で『米国人はなんてひどいことをするんだ』というのは簡単ですよ。あなたたちがいましなければならないのは、自身を見ること。鏡を覗いてみることです。そうしたら、それほど安閑としてはいられないでしょう」

ここで留意すべきは、チョムスキー自身が反アメリカ(政府)的な主張ゆえに批判にさらされている、またアメリカの介入主義に否定的な見解を持っているにもかかわらず、著者のアメリカ批判に対して同調せずに上記のような反応を示した点です。ここに、批判のための批判をすることへのチョムスキーの怒り、拒絶反応を私は読みとりました。(但し著者が批判のための批判をしているとは思いませんが。)

政治が悪い、マスコミが悪い、誰それが悪い・・・。
それなら、自分自身はそれにどう関わっているのか。
政治家を批判する当人が実はまともに投票にすら行ったことがなかったりしていないか。自ら行動し、または意思表示することもなしに他ばかり批判していないか。
もちろんこれは自己批判を含みます。
今の自分に何が出来るのか。何を為すべきなのか。

暗く陰惨な人間の歴史をふり返ってみると、反逆の名において犯されたよりもさらに多くの恐ろしい犯罪が服従の名において犯されていることがわかるであろう
(C・スノー)

この本の著者は、徒労感を感じながらも叫ばずにはいられないと度々漏らしながら読み手に”おまえはどう思うか”と語りかけている。そんな気がしました。

きたるべき戦争の時代を生きる方法とは、断じて強者への服従ではありえない。人間の集団化、服従、沈黙、傍観、無関心こそが、人間個体がときに発言する個別の残虐性より、言葉の真の意味で数十万倍も非人間的であることは、過去のいくつもの戦争と大量殺戮が証明している。

汝自身を知れ
汝自身について考えよ

(ソクラテス)

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コメント / トラックバック2件

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  1. 戸塚哲也 said, on 2007年3月30日 at 9:36

    面白そうなブログなので読みたいのですが、黒い背景に白抜きで書かれた文章は、読むのがとても辛いのです。
    私が老人であるせいだとも、思いますが、他にも視力に問題のある人には読みづらいと思います。
    黒だけでなく、濃い色の背景に書かれた字は矢張り読みづらく、長く読んでいられません。
    白地に黒の字が、一番楽です。
    そのあたりの事、ページデザインの面でご一考下さい。

  2. UBSGW said, on 2007年3月30日 at 11:04

    戸塚様
    ご指摘大変有難く存じます。さっそくデザインの変更を検討してみたいと思います。

    そもそも以前は白地に黒のデザインだったのですが、白主体の画面が私の眼には刺激が強すぎるように感じられて試行的にこのデザイン(黒地に白文字)に変えてみたのでした。

    しかしその後、「なにもブログデザインそのものを変えずともディスプレイのコントラストを調整すれば良かったかな?」などと思ったことでした。

    「外見」よりも「読みやすさ」を優先したいとつねづね思っておりますので、デザイン変更の件、近日中に調整致すつもりでおります。

    取り急ぎ御返事まで。

    なお、さしあたり新着の記事のいくつかは画面右下の
    「RSSリーダーで読む」
    をクリックしていただければ白地に黒文字でご覧頂けるページが表示されるように致しておりますので、宜しければお試し下さい(ただ、過去の記事までは読めませんのでその点はご容赦下さい)。

    今後ともなにかお気づきの点ございましたらご教示いただければ幸いに存じます。


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