求道blog

戦後レジーム

Posted in 政治 by UBSGW on 2006年9月28日

先日予告していた辺見庸さんの記事について書いてみます。
「言いたい聞きたい 自民党総裁選に注文」第5回(西日本新聞 月 日朝刊より引用)

「この国の戦後の成り立ちを根こそぎ否定する姿勢に危ういものを感じる。安倍氏の言う『戦後レジーム』からの脱却とは、行き着くところ、不戦平和の誓約の破棄になりかねない」

実はまだ、安倍氏がどこでどのような文脈の中で”戦後レジーム”という言葉を使ったのかをよく調べていません。
ただ、ここではすくなくとも「アンシャン・レジーム」という言葉が極めて否定的な意味で用いられるフランス革命を強く意識しているように推測します。良くも悪くも、日本の戦後のありかたに対する安倍氏の嫌悪感が明らかににじみ出ているようです。

”戦後体制からの脱却”ではなく敢えて”戦後レジームからの脱却”。

ここには、日本の戦後体制はそれ自体が全否定されるべきもの、そこから抜け出すことなしには(あるいはそれを破壊することなしには)未来への展望を開くことのできない”旧体制(=アンシャン・レジーム)”である、という安倍氏の見解が示されているように思います。

(蛇足ですが、「アンシャン・レジーム」という言葉そのものに、単に旧式、古いというにとどまらない極めて否定的なニュアンスがこめられていると学校で習った覚えがあります。必ずしもそうではないという説も耳にした気がしますがこれ以上は立入りません。すくなくとも安倍氏の言には強い否定的ニュアンスが読み取れます。)

はたして日本の戦後は全否定されるべきものなのか。そこには何の見るべき価値もなかったか。
私はそうは思わない。個人の尊重、両性の平等、民主制等々、(それが本当に実現されたかどうかはともかく)理念としては見るべきものが多々あるのではないのか。いや、間違いなくある。

いっそもっとくだけた物言いをすれば、

わがまま勝手に育ってきたボンボン(日本)が、隣家の(太平洋の向う側の)おじさんからもらった玩具の使い方がよくわからないからといってそれを投げだした挙句、あつかましくもおじさんに別の玩具をねだってる。そんな気がします(ちなみにこのボンボン、かならずしもY県出身とは限りませんからね)。

「ちゃんとした使い方を知ろうとしないのか、このクソガキが!」ってなもんです。おまけにそのおじさんがここ数年ばかり狂ってるらしいところがどうも恐い・・・。玩具どころか本物の散弾銃でも与えてくれそうな・・・。
そしてボンボンは、言う。
「じつはボク、核も欲しいんだ」

十年後にはこんな皮肉すらコワくて言えない「凛とした日本」になっていないことを祈ります。
安倍首相の政治手腕と良識に期待しています。本当だよ。

「侵略戦争の反省という立脚点を欠き、平和憲法の精神を尊重する人々を異端視する。まさにバックラッシュ(逆流)がいま押し寄せてきています」

「現在の翼賛政治もメディアの加担なしには不可能です。政治とメディアの協調という一見つつがない成り行きのほうが、とてつもなく異様であるということを私たちはなぜか忘れがちです」

最後になりましたが、

過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる
(ヴァイツゼッカー)

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コメント / トラックバック6件

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  1. 万歳 said, on 2007年5月21日 at 16:39

    安倍首相のいう戦後レジームには日米安保体制は含まれてないのでしょうか?戦後レジームからの脱却を主張するならば、日本国憲法の改定、あるいは見直しではなく、日米安保条約の見直しであり、米軍基地を我国から無くすようにするように図る事が肝要ではないか。憲法は国民に被害を与えていないが、米軍基地は日夜、周辺住民を苦しめているではないか。

  2. UBSGW said, on 2007年5月22日 at 0:03

    万歳さま、コメント有難うございます。

    キレのよい半面でその意味するところが曖昧な言葉ばかりが氾濫していますね。戦後体制からの脱却と安保存続との整合性には私も大いに不審の念を抱いております。

    なお、勝手ながら最初の(一通目の)コメントは削除致しました。文章はそのままで「お名前」を「万歳」と変更して再投稿なさっていらっしゃったところからして(おそらく)削除した方がお心に叶うかと存じます。

  3. 木村陽吉 said, on 2007年7月30日 at 10:11

    79歳前の戦中派。安倍自民の参院選退廃で「戦後レジームからの脱却」論は否定されたと見る。祖父岸信介がいわゆる「革新官僚」として何をなそうとしていたか。「アジアの盟主」となる侵略戦争であったことを当時騙されていた少年の私は苦々しく思い出す。祖父岸の亡霊に取り付かれた安倍に政権担当の道理はない。
     現憲法はGHQから注文をつけられて成立したが、国民の圧倒的支持を受けたのは歴史的事実である。それを否定しようというのか。

  4. UBSGW said, on 2007年8月2日 at 1:12

    木村様へ
    初めまして。コメント有り難うございます。

    1945年8月を境に何が変化しかつ「何が変化しなかったのか」を考えてみることはとても大切なことのように思います。

    岸信介をはじめ多くの人間が、戦前に為した行いについて口をつぐみ「忘れたふり」をして、(占領期を除いて)その後も政界・官界・教育界あらゆる所でそれなりの地位を保ちつづけたということは、戦後生まれの私のような者にとってさえ、銘記しておくだけの重い意味を持っているように思えてなりません。

  5. 斎藤仁右衛門 said, on 2007年8月15日 at 11:09

    レジームという言葉はテレビラジオ新聞で垂れ流しされていますが、最初レジュームと聞こえてました。
    そしてその意味(元はフランス語であったとか、元のその意味)も知りませんでした。(正確には知ろうとしていなかった)
    はたして国民の何割の人がこの意味を知っているのだろうか、と大変気になります。

  6. UBSGW said, on 2007年8月16日 at 10:06

    横文字使いの多い昨今の政治家の言葉は、「意味不明」「なんとなくかっこいい」ものが多くて、聞かされる方もこれまたなんとなく流して聞いてしまいがちです。しかし「アンシャン・レジーム」という聞き慣れない言葉が、革命派が保守派に投げつけた罵倒の言葉であることを知ってみると、「戦後レジーム」という言葉にもまた日本の戦後に対する強烈な罵倒、呪詛の表現を見出せるのではないでしょうか。


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