求道blog

夢野久作『ドグラ・マグラ』

Posted in 日本文学一般 by UBSGW on 2006年10月14日

読了。

合理的な素材・ディテールから構成された極めて非合理的小説世界である。
そんな印象は残るものの、「どういうストーリーだった?」と問われても、一読した限りの私はそれに答えることが出来ません。
日頃から”論理だ””客観だ”などという意識が強い人ほど、精神のバランスを取るのに最適な本かもしれません。
心理学に興味がある方なら尚さら興味深く読めるのではないかと思います。ユングの集合的無意識と通じるような部分もありました。

ぼくたちの無意識は、自分の現実に行っていない犯罪の、罪の意識にさいなまれ、おびえ、苦しめられている

合理主義精神を教養の根底においた人物が、この非合理的な巨大な世界の構築者であったとは、信じられぬ人もあろうが、その人たちは、合理主義的な理性が、狂気と無縁か、あるいは対照をなすものと、思いあやまっている。

妄想的世界は、極端にまで押し進められた合理主義の世界なのである。この小説に登場する二人の学者の合理主義の果につながる人体実験を、じっと眼をこらして見るがいい。そこに、鉄格子の中に閉じこめられた患者たちの世界よりも、より狂気的な世界が見えてくるだろう。

以上、なだいなだによる巻末解説より引用

極端な合理主義はそのままある種の迷妄へと通じている、と言えるのかもしれません。遠藤周作の「海と毒薬」のテーマなぞも同様のことを示しているように思います。よくよく考えてみればそういう例は身の回りに結構たくさんありそうです。

ちなみに夢野久作は杉山茂丸の息子で本名杉山泰道。
「夢の久作」とは、九州地方の方言で、「夢想家、夢ばかり見る変人」という意味、なのだそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/夢野久作

夢野久作・・・。誰かの名前に似てるんだけど・・・・思い・・出せま・・・せん。

ついでに紹介。
 西日本新聞連載の「千年書房・九州の百冊」
http://www.nishinippon.co.jp/nbl/kyushu100/
ドグラマグラの紹介記事があります。

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