求道blog

高杉良『小説消費者金融』

Posted in 書籍一般 by UBSGW on 2006年10月24日

消費者金融とくれば苛酷な取立てというのが通り相場。
街金、サラ金、闇金、取立て、借金地獄・・・・。
消費者金融業界が可愛い女の子を多用したテレビCMを打ちまくったところで、この業界にはどうしても負のイメージがつきまといます。そしてそうした負のイメージの根源が主に債権回収の手段・方法にあるのはほぼ間違いないでしょう。先頃も大手消費者金融による団体生保を利用した回収手法が問題化しました。「死んでも払え!」とまっすぐ言わずとも、よりソフィスティケートしたやりかたで同様の効果をあげられたというわけですね。
貸すときニコニコえびす顔、取立てのときゃ鬼の顔。

今回読んだこの本のモデルは実在の人物、玉木英治氏(前シーシーシー債権回収株式会社社長)。
「鬼玉(おにたま)」と呼ばれた街金経営者時代とその挫折を経て、より合理的かつ消費者志向の債権回収手法を実践しようと試みた人物。
その手法とは

  • 「実効的なデータバンクの構築による入口(与信)と出口(回収)の連動」
  • 「取立て(回収)手法の合理化」

すなわち債務者の人格を無視したような強引な取立て手法の否定。そしてそれは、俗に”ムシャ”などと蔑称されることの多い債務者を”カスタマー”と呼ぶところから始まる。
債権回収の手法に関しては、ご自身の手でかなり以前から問題提起的な著作を発表されているようです。

世間的には今も債権回収にまつわる負のイメージがつきまとっている気がします。1998年にサービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)が施行されて以後も、相変わらず”債権回収”という言葉を聞いただけでギョッとする人の方が大多数だと思います。”銀行”と聞いてえげつない取立てを連想する人は少数派であるにもかかわらず。この点は、”警察”と聞いて「正義の味方」を連想する人もいれば、「裏金まみれのお役所」を思う人もいるのと同様でしょうか。
実質よりもイメージが先行するのは世の常。やむを得ないことだと思いますが、それはそれとして、この作品は一読の価値があると思いました。

物事をあるがままに見ること。
ちょっとだけ目を見開かれる思いがした一冊です。

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