求道blog

日本の孤立化(孤立か?)

Posted in 国際 by UBSGW on 2007年3月10日

アメリカと北朝鮮の間で進む緊張緩和。アメリカは対北朝鮮金融制裁の緩和・テロ支援国家指定の解除などを以て「北風政策」から「太陽政策」(「木漏れ日政策」?)へと鞍替えした模様(いつまで続くかは不明だが)。

心覚えに最近の米朝日交渉をまとめると次の通り。

  • 1/16~ 米朝事前協議(於ベルリン)
  • 2/8 ~ 6カ国協議再開(於北京)
  • 2/13  6カ国合意成立
    北朝鮮が寧辺の核関連施設を停止・封印
    北朝鮮へ重油5万トン相当の支援(オプションで最大100万トンまで)
  • 3/5 ~ 米朝作業部会 →対北朝鮮制裁緩和へ
  • 3/7 ~ 日朝作業部会 →進展無し

現在のところ、拉致問題を抱える日本はアメリカの対北宥和政策を横目に見ながらも強硬な姿勢を崩していない。外務当局者も大変な思いだろう。振り上げた拳をおろせないわけだ。アメリカの中間選挙で民主党が勝利(*)した時点でも、その後のアメリカの外交政策がいくらかなりとも変化するであろうことは日本当局者の想定の範囲内であったはずだが、その後も日本政府は事あるごとに対北強硬姿勢をアピールし続けている。
*中間選挙だけでなくネオコンの退潮も政策変化の要因としてしばしば指摘されているようだが、この二つを並置することには疑問がある。以下略(おいおい・・・)。

もちろんそれは日本国民向けにはそれなりに有効なのかもしれない。なにせ安倍政権の求心力はもはやそれしかないようにも見えている。が、国内世論を意識した強硬姿勢が結果として北朝鮮との外交的駆け引きにおいては手詰まり感をもたらしている。そうした中で安倍政権はどこに打開策を見出せるだろうか。

今のところ安倍政権は、小泉時代から引き続いて対米追従、いや正確には対ブッシュ追従方針を変えていない。アメリカの抱える中間選挙後の捻れた(しかし民主政治の枠内では想定の範囲内の)国政にどこまで追従できるのか。対外政策は行き詰まりを見せ、国内では統一地方選挙・参議院選挙が迫っている。結局、安倍首相はアメリカに振り回された挙句に政権を投げ出すか。

とはいえ、今の日本がアメリカに振り回されているとすればその最大の責任は名実共に安倍首相にあるだろう。単に国政のトップに立っているという形式的な責任のみならず、既に政権に就いた時点で爾来アメリカが今そうあるような捻れた状態に陥る可能性は小さくなかった(少なくともそうなる可能性は確実に存在していた)のであるから、それを考慮した上で対米追従方針を再検討ないし微調整するオプションを検討することは出来たであろうと推測する。それでもなお、小泉首相以来の盲目的なまでのアメリカ追従政策を踏襲した安倍首相の真意はいったいどこにあるのだろうか。

北東アジアでの孤立のみならず、太平洋の向う側にデンと構える唯一最大の「同盟国」からも背後から矢を浴びせかけられる現在の日本。このような、(一見すると)四面楚歌の状態にあってもなお、誰一人味方になるものはいないであろう従軍慰安婦問題に関して言わずもがなの自慰的で実りのない言動を繰り返して見せる安倍首相は、ひょっとしたら只の復古狂信主義者なのだろうか(たぶんそうだろう)。かつて独ソ不可侵条約の締結に際して「欧州情勢は複雑怪奇」という可愛くも世間知らずな言を残して政権を投げ出したのは平沼騏一郎であった。安倍首相もまた「北東アジア情勢は複雑怪奇」と仰っているかもしれない。しかしまた、他国への盲目的な追従がどれほど間の抜けたことなのかを安倍首相や外務当局者が理解できないはずはまさかなかろうと思われるから、そこには外からは窺い知れない深謀遠慮があるのだろうと邪推するしかない。

今後、振り上げた拳をおろすところがないからといって安倍首相がさらなる暴挙に出られることはまさかあるまいと思っている。が、本当に安倍首相が「国家百年の大計」をその胸中に秘しておられるのかどうかが疑わしくもなってきている。「歴史と伝統」をつまみ食いしていったい彼は何をやろうとしているのか。おそらく、国内に自閉的な「行政主権国家」をつくりだす一方で国際関係は支離滅裂となったかつての過ちもまた安倍首相のいう「歴史と伝統」のうちに含まれているのだろう。そして、その後再び日本に破滅がもたらされ、われわれはまたゼロから再出発し高度成長・右肩上がりの時代を迎えることが出来るのかもしれない。安倍首相のいう国家百年の計とはそういうことなのだろうか。

いずれにせよ次の二点は明白である。
引き際を考慮しない戦争は無謀である。
おろせなくなるような拳を振り上げるものは匹夫である。

私には、口先ばかりの(後先を考慮しない)アピールとハッタリの跳梁こそが戦後日本に見られる最も愚かな風潮だと思われるのだが、その愚行があらゆる局面で見出されるのが今の日本の現状である。そして歴史と伝統をまさに自ら破壊しつつある者どもが皮肉にも「歴史と伝統の尊重」を唱えながら尚いっそう日本を破壊し尽くさんとしている。

今わたしたちに必要なのは「かたくなさ」ではない。「したたかさ」である。


以上、UBSGWの内にひそむ頑固じじいがしきりに吠えていたので仕方なくここに書き付けました。UBSGW自身はもう少し情報を集めた上でじっくり考察した方がよいと思っているのですが、まぁ誰に害が及ぶわけでも無しと思い直して言われるがままリアルUBSGWに頼んで書いてもらいました。

さてさて・・・。

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コメント / トラックバック2件

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  1. katsu said, on 2007年3月11日 at 2:51

    平沼赳夫は、平沼騏一郎の養子だそうですね(血筋のうえでは大叔父だそうです)
    虚勢を張るという点では、松岡洋右も似た様なものですが。
    白黒反転すると、すっかり印象が変わりますね。

  2. UBSGW said, on 2007年3月11日 at 11:01

    >赳夫は、平沼騏一郎の養子

    そうですか。知りませんでした。
    政治家や高級官僚には「あの○○の子・孫」が相当いるようですね。
    国民の圧倒的人気を誇る前任者(近衛・小泉)のコピーという点でも平沼と安倍がダブりそうです。

    日ソ中立条約に調印して帰って来た松岡洋右が日米諒解案を蹴っ飛ばしたときのように、安倍さんもそのうち北朝鮮と「サプライズ妥協」して日米関係を複雑化させたりして・・・ですね。
    安倍さん、頑なすぎてブレてます。

    私見ですが、戦後レジームと安倍さんの政治姿勢は白黒反転しただけで本質的には(独りよがりの盲従、頑なさという点において)同一です。
    一見すると全く異なった印象を与えるとしても、よく見たら「ただひっくり返しただけじゃん」てなもんです。まるでこのブログのデザインのように。フフ。

    katsuさん、コメント有り難うございます。


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