求道blog

『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』

Posted in 日本文学一般 by UBSGW on 2007年3月18日

(本の話の前に前ふり)

今朝は久しぶりにまともな(というか日記帳の装幀についてではない)記事を書いたのだけど、その後どうも何かがひっかかったままのような感じで非常に具合が悪い。ふて寝するのもなんなので、また書く。
ホリエモンへの一審判決について昨夜から今朝にかけて二つのエントリを立て続けに書いたのだが、どちらとも当初の見込みとはまるで違う方向に話が進んでいってしまった(自分が進めたんだけど)。ホリエモン判決のニュースを読んだ瞬間の私の感想は、「実刑は妥当か?」「日興はどうなんだよ!」「裁判官の説諭は、比較的に厳しい判決とのバランスを取ったか!?」といった感じだったのだが、いざ記事を書き出したら全然見当違いの方向に進み始めてしまった。二つとも。そういうわけでくどいようだがもう少しこの件について考えてみることにした。

  • 今回の判決は妥当なのか
  • この一件は社会に今後どのような影響を与えるか
  • 拝金主義とは何を、あるいはどのような在り方を指しているのか

こうしてつらつら考えてみてもどうもはっきりとしたイメージが湧いてこない。対象が見えてこない。
いまふと思ったのだが、少なくとも私はホリエモンの事件の原因を彼の個人的な資質に還元して分かった気になろうとは思っていない。それはホリエモンが持っている(とされている)資質を矮小化してしまおうとしているのではなく、この件をむしろホリエモンを含む人間一般の問題として把握したいということだ。その理由の一つは私がホリエモンに関して持っている、また今後得られるかもしれない情報がすべて「気の抜けた情報」つまりは伝聞でしかないというところにある。直に彼を知らない私が彼についてここでどれほどもっともらしいことを述べたてたとしても自己満足以外の何一つ得られないだろう。また、判決の法的妥当性について検討することも私はその任に堪えない。ただこの一件を考察するにあたっては法規範と倫理を度外視することは出来ないように思われるが、おそらく私の考えは法と倫理との端境を見出そうとする方向へ向かっていきそうな予感がする。

そしてもうひとつの焦点は、この一件から窺い知れるであろう社会の現状を考えてみることだ。確かにマスコミなどにはホリエモン個人を取り上げてその拝金主義を難詰しているものが多いが、意図的かどうかはともあれ紙上あるいは電波上(?)でホリエモンの拝金主義が批判されればされるほどに、その実その拝金主義的なものは決して彼一身の問題ではないのだということがあからさまになっているように思われる。

さて、このまま書きつづけるといつ終わるか分からないのでひとまずここで一段落。私個人的には少しだけ目標が見え始めた気がします(勝手ですいません・・・)。

本題(今日の「書きたかったこと」)

ここで一つだけご紹介を・・・。ホリエモンよりもむしろこの本について書きたかったのですが、それではちょっと記事が長くなりすぎて誰にも読んでもらえなくなりそうなので(今さら言っても遅いのかもしれないが・・・)サラリと。

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この本、わずか200ページ足らずの本ですが何度も何度も読みかえしたくなるほど「濃い」本でした。村上春樹と河合隼雄の対談をメインに後日二人が書き加えたノート(追記)が併記されていますが、小説・物語・身体性・無意識などをキータームとして非常に示唆に富む対談が交わされています。ちょうど村上はこの対談が行われた時期に地下鉄サリン事件に関する取材を進めていたそうで、文筆活動の初期の、なんとはなし韜晦(村上曰く「デタッチメント」)したような村上がどのような経緯でより社会的な事象に興味を向けるようになっていったか(「コミットメント」しようとしているのか)を村上自身が語っています。
最後に引用を二つ。(上段は村上、下段は河合)

ぼくが日本の社会を見て思うのは、痛みというか、苦痛のない正しさは意味のない正しさだということです。たとえば、フランスの核実験にみんな反対する。たしかに行っていることは正しいのですが、だれも痛みをひきうけていないですね。

何でも「裏がえし」というのは、その元のものとほとんど変わりはありません。「体制」を措定して、その裏がえしの「反体制」を考えるやり方は、「体制」のなかに本質的には組み入れられているのです。

私にはホリエモンを断罪する資格などない。
またもちろん投資家を批判する権利もない。
私に与えられた義務は、ただこの一件から自分なりの、単なる裏返しの思考にとどまらない何かを見出し、それによって社会にコミットメントすることだと思っている。

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コメント / トラックバック2件

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  1. Dr. Waterman said, on 2007年3月19日 at 2:40

    >単なる裏返しの思考にとどまらない何か

    まさしく。MWW

  2. UBSGW said, on 2007年3月19日 at 13:40

    ドクトルはいつも私が最も言いたいところをガッシリ受け取ってもらえて嬉しい限りです。同じINTJ型のせいでしょうかね!?


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