求道blog

シュタウダー『ウンベルト・エコとの対話』

Posted in 海外文学一般 by UBSGW on 2007年10月26日

ふと手に取ってみた一冊。イタリアの「作家」ウンベルト・エーコとそのドイツ人研究者シュタウダーの対話集。エーコの創作にまつわる内幕話だがこれがなかなか面白かった。著者によって付された丁寧な注釈がいかにもドイツ人、てなかんじでありました。注釈は丁寧でもほんらい対話集なもんでスラスラと読了。文章というのはそれを「文字の集まり」と単純化すればこれを文字数・単語数・ページ数で計ることができる。しかし同じページ数でもそれが対話ならスイスイ読めるし日記なら一気読みはする気にならない。小説ならスイスイ、論文ならトツトツ。つまりは文章それぞれの性格(ピンとくる言葉が思い浮かばず)が自ずと含まれている。文章がその書き手の生活・思考・生(生きること)の実相を表現するものであるとすれば、その生の凝縮度の差が文章の個性ともなる。星新一が一ページ幾らの原稿料に異議を唱えたことをふと想起する。いま私がダラダラと書き綴るこの文章はさしずめ物置に雑然と詰め込まれたダンボールの中のガラクタといったところ。

今日のマスメディアは絶えず知識人を使ってさながら神託みたいに「本当のことを言え」と命令しようとしています。たぶん或る時点では知識人の義務の一つがどこにあるのかと言えば、考える暇もないのにあらゆる出来事について発言させられること、神託になることを拒絶することにあるのでしょう。

トーマス・シュタウダー著,谷口伊兵衛ほか訳『ウンベルト・エコとの対話』而立書房2007 P218
ついでにいえば、訳者あとがきが面白い。日本におけるエーコ研究を批判する批評家の名前(イニシャルのみだが)をあげて「チンピラ」と喝破。ちょっと爽快な感じもした。もひとつついでに、この本、失礼ながらそのテーマからしてさほど部数がはけるとは思えぬのだが、丁寧な造本にもかかわらず良心的な価格で、他人事ながら「だいじょうぶ?」などと思ってしまった。而立書房はなかなか良心的な出版社なのかも。

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コメント / トラックバック1件

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  1. 小説耽読倶楽部 said, on 2008年2月13日 at 11:48

    ウンベルト・エーコウンベルト・エーコ(Umberto Eco、1932年1月5日 – )はイタリアの哲学者、小説家、ボローニャ大学教授である。アレッサンドリア生まれ。哲学者としては、記号論の分野で世界的に有名である。トマス・アクィナスの美論についての論文で学位を取得。ラジオ放送局でドキュメンタリー番


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