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報道の自由ランキング 2008〜2002

Posted in 報道・ジャーナリズム by UBSGW on 2009年8月21日

先日のエントリで新聞業界の展望について書いた際に、排他的「記者クラブ制度」について少しばかり言及しました。2006年に「国境なき記者団」が公表した「報道の自由ランキング(”Press Freedom Index”)」(注)で日本が51位だったということを取り上げたエントリ(「報道の自由ランキング 2006年」)を書きましたが、その後の変動がふと気になったので調べてみました。以下、国境なき記者団がこのランキング算定を始めた2002年以降のデータも(日本に関する限り)併せてとりまとめてみます。

注) このランキングの算定方法などに関する解説ページ(英文)として次のようなものがある。Read the first world press freedom rankingおよびHow the ranking was compiled

“Press Freedom Index”における日本の順位:

( )内はスコア又はポイント。数字が小さいほどランキングは高順位となる。

  • 2008年:29位/173国 ( 6.50)
  • 2007年:37位/169国 (11.75)
  • 2006年:51位/168国 (12.50)
  • 2005年:37位/167国 ( 8.00)
  • 2004年:42位/167国 (10.00)
  • 2003年:44位/166国 ( 8.00)
  • 2002年:26位/139国 ( 7.50)

各年の日本に関する特記事項:

2008年:
(アジア地区についてのセクションに、オーストラリア・ニュージーランドと並べて「民主主義が根付いている国々」とあるだけで特記事項はほぼ無し)
2007年:
「35位のイタリアは、ジャーナリストが何の心配もなく活動することを暗に妨げるマフィアグループの脅威に依然としてさらされてはいるものの、順位の下落には歯止めがかかった。37位の日本は、粋がった国家主義者(militant nationalists)による報道機関への攻撃がいくらか減ったように観察されたので、順位を(前年の51位から)14ランク回復した。」(注)
2006年:
「アメリカ合衆国・フランス・日本に於ける報道の自由の蚕食には特に警戒を要する」として特にこの三カ国について一項をさいて詳述されている。そのうち日本に関して「国家主義(nationalism)の台頭及び排他的(特権的)なプレスクラブ(記者クラブ)制度が日本に於ける民主的な利益を脅かしていることから、ニッポンは14ランク下落して51位となった。日本経済新聞社は火炎瓶による攻撃を受け、また複数の記者が極右活動家(右翼)の攻撃を受けて負傷した。」
2005年:
(日本に関する特記事項無し)
2004年:
「メディアは多様かつ強力ではあるが、記者クラブ制度のために外国報道機関及びフリーランスのジャーナリストは情報へのアクセス権を剥奪されている。」
2003年:
(日本に関する特記事項無し)
2002年:
(日本に関する特記事項無し)

出典:Press Freedom Index 2008, 2007, 2006, 2005, 2004, 2003, 2002

筆者注)
wikipedia日本語版「国境なき記者団」の項にも2002年から2007年までのランキング一覧がある。そこには2007年の評価に関して次のような記述がある(2009年8月21日現在)。「国境なき記者団はウェブサイト内で記者クラブの存在を批判しながらも、『過激なナショナリストによる報道機関への襲撃の減少が見られる』とし、日本での報道の自由が回復されつつあるとした」(強調は引用者)。

しかし、上に訳出したとおり、本来、回復したとされているのは単なる「順位」であって「報道の自由」そのものが回復基調にあるとは到底読むことができない。むしろ2002年以降の順位変動及び前段のイタリアに関する記述を考慮に入れるならばその評価は否定的ないし中立的でしかなく、wikipedia日本語版のこの記述は曲解だと思うがどうだろうか・・・。なにせマフィアにびくびくしなければならないイタリアよりも下位なのだから。それでも報道の自由が回復されつつあると言えたものだろうか。もし言えるのなら、大したもんだね。

この国境なき記者団によるランキングは、ジャーナリスト(ジャーナリスト集団)によるジャーナリスト(同)の為の主観的な評価という傾向が強いようで、各国に於ける報道の自由・言論の自由の実態を示す客観的な指標とは言えないが、一方でそのジャーナリスト自身の採点がこの程度と言うことは、実態はそれ以上に悪いのかも知れない。少なくとも私自身の感覚はそうだ。とはいえ、この「国境なき記者団」自体もちょっと調べて見ねばと思っている。正直なところ、よく耳にはするけれどよくは知らないので。

近々2009年のランキングも公表されるはずなのでそのときにはまた一言つぶやいてみるとします。

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