求道blog

『人民は弱し官吏は強し』再読

Posted in 星新一 by UBSGW on 2010年1月17日

星新一の『人民は弱し 官吏は強し』を再読。著者の父である星一が設立した星製薬が、(戦前戦後を通じて見られる)利権政治の渦中で商売敵やそれと結託する政治家・官僚によってどのように陥れられていったのかを描いた史伝のような小説、あるいは小説のような史伝。どこまでが事実でどこからが新一による想像・創作なのかは判然としない(部分もある)が、読む人が読めば「そこ」に描かれた醜い有様の多くがまぎれもない実際の様子であることはたやすく知れるだろう。

著者は史実にもとづきながら、アメリカ帰りの楽天家である父が如何に前向きに事業に取り組み、そして如何にドロドロとした利権や保身の為の嘘や嫉妬の渦のなかに引きずり込まれていったのかを描くにあたって(彼にしては珍しく)抑えきれない怒りの感情を垣間見せている。

裁判で理非を明らかにしようというのではなく、あくまで罪人を作りあげたがっているようだ。気ちがいが刃物を振りまわしているのに似ている。

『人民は弱し 官吏は強し』(新潮文庫)

拘置所あたりで読むには最適の一冊かも知れぬ。

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(読書メモ)三崎亜記『失われた町』

Posted in 日本文学一般 by UBSGW on 2009年12月21日

この作家のデビュー作『となり町戦争』も相当面白かったがこの作品もまた楽しめた。何気なく「楽しめた」と畫いてはみたけれども含蓄のある作品でしたよ。 今年読んだ文学作品の中のベスト1(ただし出版されたのは2006年です、ハイ)。
ちなみに村上春樹の1Q84はまだ読んでいない。文庫版まだですか〜、まだでしょうね。粗筋を知って一層興味津々になった。ええ、私はネタバレしてても文学を楽しめる人間です。というか粗筋が分ってしまったらつまらなくなるのはハリウッド映画だけでよろし。
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引きこもりの『プリズンホテル』

Posted in 日本文学一般 by UBSGW on 2008年11月8日

そろそろ冬籠もりシーズン、折悪しく(訂正!折良く)冷たい雨の降る休日、雑用の合間あいまに読みかけの浅田次郎『プリズンホテル』全4巻を読み終える。極道経営のリゾートホテルを舞台にとった、笑って泣いての娯楽小説、この作品この作家が半世紀後にどのような評価を受けることになるかなんてことはどうでもよく、右から左へと、ひたすら楽しめた。冬が来る毎に部屋に引き籠もって読書三昧の私にとっては、劈頭を飾る今冬第一作であった。
この本を読みながら、なぜかある作家のことがしきりに思い出されたが、どうしてもその名前がでてこない。あの人、直木賞の第一回受賞者、誰だったかな・・・。あ、ウィキペディアですぐひけるか。

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